キリストは「神」?
今回から、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネという4人の記者が、新約聖書の冒頭にある4つの「福音書」にまとめた、イエス・キリストの生涯について、そのあしあとをたどってみます。
【ヨハネの福音書1:1~5】
1:1 初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。
1:2 この方は、初めに神とともにおられた。
1:3 すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもなかった。
1:4 この方にはいのちがあった。このいのちは人の光であった。
1:5 光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。
「ことば」とは?
聖書の中で一番昔のことが書かれているのはどこ?と聞かれたら、聖書を知っている人なら、旧約聖書の「創世記1:1」と答えるかもしれません。でも正解は、これから紐解く新約聖書の「ヨハネの福音書1:1」です。
そして、冒頭の1~5節に出てくる「ことば」と言う存在が、後にイエス・キリストのことであることが明らかとなります。では、「ことば」がどんな存在か迫ってみましょう。
1:1 初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。
【1節】創世記は既に神がいた前提で、天地を創造されるところからはじまるのに対して、ヨハネは、そもそも初めにあったのは「ことば」で、神と共にあり、且つ、「ことば」は神そのものでもあるのだと言っています。
1:2 この方は、初めに神とともにおられた。
【2節】そして「ことば」は、全ての第一原因である神と共に、初めからおられた方だと強調しています。
1:3 すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもなかった。
【3節】ようやく創世記と時間が一致します。この箇所と創世記の記述を総合すると、神と共に、「ことば」もまた、天地創造に参加されたことがわかります。
「はじめに神が天と地を創造された。地は茫漠として何もなく、闇が大水の面の上にあり、神の霊がその水の面を動いていた。神は仰せられた。『光、あれ。』すると光があった。」
(旧約聖書 創世記1:1~3)
1:4 この方にはいのちがあった。このいのちは人の光であった。
【4節】「ことば」には「いのち」があり、且つそれは「人の光」だと言います。なお、この福音書を書いたヨハネは、「ヨハネの手紙第一」という別の書物の中で、「ことば」は、「いのちのことば」「永遠のいのち」であり、それがヨハネたちの前に「イエス・キリスト」となって現れたと伝えています。
「初めからあったもの、私たちが聞いたもの、自分の目で見たもの、じっと見つめ、自分の手でさわったもの、すなわち、いのちのことばについて。このいのちが現れました。御父と共にあり、私たちに現れたこの永遠のいのちを、私たちは見たので証しして、あなたがたに伝えます。」
(ヨハネの手紙 第一 1:1~2)
1:5 光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。
【5節】「闇」は「光」に照らされると消えてしまいます。従って、「光」である「ことば」の届くところに、闇は存在出来ません。そして、「ことば」であるイエス・キリストご自身がこのように語っています。
「わたしは世の光です。わたしに従う者は、決して闇の中を歩むことがなく、いのちの光を持ちます。」
(ヨハネの福音書8:12)
「三位一体」とは?
私たちにとって難しい概念は、「ことば」という方が、神と共にありながら、神である、という点でしょう。この概念は私たちの理解を超えていて、聖書全体から読み取れる神のこうした属性を、神学的には「三位一体」と呼んでいます。
①父なる神:キリストが「父」と呼ぶ、一般的に「神」と呼ばれる存在
②子なる神:キリストとなった、「ことば」と呼ばれる存在
③聖霊なる神:「聖霊(せいれい)」「御霊(みたま)」「神の霊」などと呼ばれる存在
従って、神は、本質において一つの神でありながら、異なる三つの位格(神格・人格のようなもの)をもって働かれる存在であるという、人間の理解を超えた神の属性を、「三位一体」という用語で表現しています。
この言葉は、聖書には出てきませんが、聖書を読めば、神が三位一体で、父なる神が計画し、子なる神が実行し、聖霊なる神が完成されるという特徴を持っていることがわかります。従ってこれから、キリストが、三位一体の父なる神の、子として来られた神というイメージをもって読むと、聖書の見通しが大変良くなります。
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では、「ことば」と呼ばれるキリストがどのような存在なのか、ここまででわかった範囲でまとめてみましょう。
「ことば」であるイエス・キリストとは?
・すべての第一原因として初めからある、三位一体の神
・三位一体の父なる神と共にある、子なる神
・父なる神と共に、すべてのものを造られた神
・今も生きている、永遠のいのちを持つ神
・あらゆる闇を照らす、世の光である神
こうして「ことば」を突き詰めていくと、イエス・キリストがいかにただものではない、とんでもない存在かがわかってきます。そして、ヨハネはさらに、この「ことば」がどうなったか明らかにしていきます。続きは次回、紐解いていきましょう。
2022.03.15
