【キリストの足跡をたどる】017_イエスをだれだと言いますか?

イエスをだれだと言いますか

【聖書】ヨハネによる福音書2:23~25 ※共同訳  
「しるし」ってなに? 
心の中は知られている? 
わたしをだれだと言いますか? 

前回に続き、エルサレムでお祝いされていた過越の祭りでのエピソードが続きます。

【ヨハネによる福音書2:23~25】※共同訳

イエスは人間の心を知っておられる

イエスは過越祭の間エルサレムにおられたが、そのなさったしるしを見て、多くの人がイエスの名を信じた。しかし、イエス御自身は彼らを信用されなかった。それは、すべての人のことを知っておられ、人間についてだれからも証ししてもらう必要がなかったからである。イエスは、何が人間の心の中にあるかをよく知っておられたのである。

「しるし」ってなに?

イエス・キリストは弟子たちと共に、毎年春に一週間かけて行われている過越祭のために、神殿があるエルサレムに滞在されていました。そしてその間に「そのなさったしるしを見て、多くの人がイエスの名を信じた。」とあります。ここで言われている「しるし」とは、イエス・キリストが神であることを示す証拠となる、奇跡的な出来事のことです。

実は、この福音書を書いたヨハネは、イエス・キリストが神であることを示す、代表的な奇跡を七つ紹介しています。そのうちの一つは、既に起こった、カナの婚礼における、水をぶどう酒に変えた奇跡でした。そして、この福音書の最後でヨハネはこう言っています。

【ヨハネの福音書21:24~25

これらのことについて証しし、これらのことを書いた者は、その弟子である。私たちは、彼の証しが真実であることを知っている。イエスが行われたことは、ほかにもたくさんある。その一つ一つを書き記すなら、世界もその書かれた書物を収められないと、私は思う

ヨハネは、キリストがなされたことはたくさんあって、いちいち書いていたら収まらないと言います。そこで、代表的な七つの奇跡だけ挙げて、ほかは省略しているのですね。というわけで、今日の場面では、キリストが多くの「しるし」をなされたものの、具体的にどんなことをされたかまでは記録がないのです。

ただし、旧約聖書に書かれたメシア預言を紐解いていくと、この場面でとは断定できないものの、キリストが公生涯を通して、主にどんな奇跡をされたかを窺うことができます。

【イザヤ書35:5~6

そのとき、目の見えない者の目は開かれ、耳の聞こえない者の耳は開けられる。そのとき、足の萎えた者は鹿のように飛び跳ね、口のきけない者の舌は喜び歌う。荒野に水が湧き出し、荒れ地に川が流れるからだ。

「荒野に水が湧き出し、荒れ地に川が流れるからだ」とありますが、聖書では、キリストは人々の渇きを癒す水に例えられます。従って、荒れ果てた土地や荒野のように、心がすさんで、渇ききっていた人々のところに、キリストが来られ、肉体的な弱さをもつ多くの人々を癒されることが預言されていました。ゆえに、恐らくこの場面で起こった「しるし」とは、スプーンを曲げてみるとか、空中に浮遊してみるといった、人々に何の恵みももたらさない芸事の類ではなくて、具体的な癒しを伴うものだったのでしょう。

心の中は知られている?

そして、多くの人がその「しるし」を見て、「イエスの名を信じた」とあります。ところが、「イエス御自身は彼らを信用されなかった。」というのですね。なぜなら、キリストは「すべての人のことを知っておられ」、人から教えられるまでもなく、「何が人間の心の中にあるかをよく知っておられた」からだというのです。

この言葉、ドキッとしませんか?心に秘めたやましい思いや下心、本音の部分に至るまで、良い思いも悪い思いも、全て見抜いている方が目の前にいたら、私たちは耐えられるでしょうか?実は、キリストはそのような方、すなわち、私たちを創られた神だからこそ、私たちの心の中は全てお見通しだというのです。

一方、そんなこととは知りもしない当時の人々も、一応「イエスの名を信じた」とあります。でも、文脈から、恐らく人々は、「この男、役に立ちそうだ」程度に、都合よく信じたのでしょう。従って、旧約聖書で救い主が来ると預言されていたにも拘らず、イエス・キリストがその方であるとまでは認めていなかったことが伺えます。ゆえに、彼らの心の中を見抜いて「イエス御自身は彼らを信用されなかった」のです。

わたしをだれだと言いますか?

今日のこの短いエピソードは、私たちに重大な問いかけを与えてくれています。すなわち、イエス・キリストが、私たちに「あなたの心の中には何があるのか」「あなたはわたしをだれだと言いますか?」と、問いかけているのです。

実は、キリストはこの後もご自身が神であることを示す奇跡を行って、イスラエルの人々も、もしかすると、この人こそ、旧約聖書で預言されていた救い主ではないかと考えはじめるのです。けれども、当時の宗教指導者層であったパリサイ派と呼ばれる人々が、キリストを「悪霊どものかしら」だと断定し、公にキリストは我々の救い主などではないと、拒絶してしまうのです。

この事が起こって以降、キリストは、信じようとしない人々の前では、敢えて、ご自身が神であることを示すような奇跡、すなわち「しるし」をされなくなります。なぜなら、キリストは、今日のテキストでわかるとおり、すべての人のことを知っておられるゆえに、いくら奇跡を見せたところで、人々に信じる気がないことを、見抜かれていたからです。

とはいえ、キリストは信じない人々を全く見捨ててしまわれたのではありません。キリストの生涯における最大の奇跡は、後に起こる十字架上での死と埋葬に続く、三日後のよみがえり、すなわち「復活」が最大の奇跡です。このことは、当時の人々が広く周知した事件であり、2000年を経た今でも文字となって私たちに伝えられています。従って、現代でさえ、奇跡を見なくても信じる人は信じるのであって、時代を問わず、私たち人間が問われていることは、神に対する態度であり、そもそも奇跡以前の問題なのです。

ゆえに、信じない人がいる一方で、素直に信じて求めてくる人々に対しては、キリストはますますご自身が神であることを明かされて、その信仰をより揺るぎない確信へと変えていかれます。そうした場面は後々たくさん出てきますが、素直に信じた人の代表例として、弟子の一人であるペテロが信仰告白をしたシーンをご紹介します。

【マタイの福音書16:15~17

イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」シモン・ペテロが答えた。「あなたは生ける神の子キリストです。」すると、イエスは彼に答えられた。「バルヨナ・シモン、あなたは幸いです。このことをあなたに明らかにしたのは血肉ではなく、天におられるわたしの父です。」

ここで登場する、ペテロという人は、とても人間臭い、欠点の多い人物で、この立派な信仰告白をした後も、様々な間違いを犯してしまいます。けれども、イエス・キリストは、そんなペテロのこの告白を大変喜ばれて、後に彼が、キリストのことを人前で拒絶して呪ったときでさえ、彼を赦し、愛し抜かれてゆきます。そして、彼のその素直な信仰が、将来「キリストのからだなる教会」と呼ばれる、信じる者の集まりの礎となっていくのです。

ゆえに、信じるということは、外形的に体裁を整えることでも、神学的に極めることでもなく、人としてどんなに未熟であっても、イエスを「あなたは生ける神の子キリストです」と認めて、素直に信頼を寄せることにほかなりません。そのことをもって、神は、「あなたは幸いです」と、その信仰を喜んでくださるのです。

なぜなら、現代の私たちが、イエスを「生ける神の子キリストです」と認めて、素直に信頼を寄せるということは、

【コリント人への手紙第一15:3~4

キリストは、聖書に書いてあるとおりに、私たちの罪のために死なれたこと、また、葬られたこと、また、聖書に書いてあるとおりに、三日目によみがえられたこと

を認めることだからです。ゆえにイエスはキリスト、すなわち「救い主」なのです。

そして、ペテロが信仰告白をした後も失敗したように、私たちも信じたあとで再び罪を犯してしまう事は度々起こります。けれども、それでもペテロが赦されたように、私たちもキリストの永遠の贖いのゆえに赦され続けることがわかります。

勿論それは、救われたから罪を犯してもよいということではありません。そうではなくて、私たちが再び罪を犯してしまったら、神はキリストの十字架による贖いによって私たちを救い続けてくださるゆえに、すぐに神に立ち返り、悔い改めよと、神は促してくださっているのです。

そうした神の愛のうちにとどまっていると、私たちは、知らず知らずのうちに同じ罪を犯さなくなっていきます。ゆえに神は、私たちが未熟であっても、まず、信じる、ということを喜ばれて、「あなたは幸いです」と、私たちを愛し抜いてくださるのです。

さあ、もしあなたが今日、イエス・キリストから、「あなたは、わたしをだれだと言いますか。」と聞かれたら、どのようにお答えになるでしょうか。

この問いかけに対して、キリストの死と埋葬、復活が私を救うためだったと信じて、「あなたは生ける神の子キリストです。」と答えることができるなら、その心の中を全て知っておられるイエス・キリストが、こう語ってくださいます。

以下、(バルヨナ・シモン)とあるところに、ご自分の名前を入れてみましょう!

「(バルヨナ・シモン)、あなたは幸いです。このことをあなたに明らかにしたのは血肉ではなく、天におられるわたしの父です。」

2022.11.15

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